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たばこは集中力を高め、脳にいいか?

禁煙しない2つの言い分

 長年の喫煙習慣は、動脈硬化から心臓病や脳卒中を引き起こしやすく、また肺疾患やがんのリスクも飛躍的に高まります。脳にもいい影響があるとは考えられませんから、禁煙するにこしたことはありません。

 また、たばこは本人だけでなく、周りの人に間接喫煙をさせてしまうことが問題視されています。喫煙者に対する社会的な圧力は、今後ますます高まっていくでしょう。

●たばこの効用?「集中力」と「ストレス解消」


 しかし、愛煙家の中には「たばこを吸うと集中力が高まる」とか、「ストレスの解消になるので、ストレス性の病気を防いでいる」などという論理で反論してくる方も少なくありません。「たばこにもプラス面はあるじゃないか」、などと禁煙できないことを自己正当化している方は、自分が「たばこ依存症」であることに気づいていないのかもしれません。

たばこで集中力が高まるように感じるのはなぜ?


 まず、「喫煙によって集中力が高まる」についてお話しましょう。愛煙家が「たばこを吸うと頭が働く」とか「集中力が増す」と言うのは気のせいではなく、それなりに科学的根拠があるようです。
 

●アセチルコリンの集中力効果


 脳内ではさまざまな神経伝達物質が働いていますが、その中にアセチルコリンという物質があります。アセチルコリンは前頭葉の大脳皮質で働き、活発になると集中力を高める効果があります。そして、たばこを吸うとニコチンがアセチルコリンの受容体と結びつき、集中力が増すというわけです。

 やっぱりそうか、と愛煙家は胸を張りたくなるところですが、そうはうまくいきません。喫煙が続くと、アセチルコリン受容体がニコチンを受け入れてしまうため、余ったアセチルコリンを受け入れるために、受容体を必要以上に作ってしまいます。

 そのため、ニコチンが切れたときに、受容体にアセチルコリンが結びつきづらくなり、頭がボーっとしてきます。たばこを吸っていないと頭が十分に働かない状態になるわけです。

●マウスでの学習実験では能率低下


 マウスの実験でも、ニコチンを与え続けていると、迷路などでの学習効果がだんだんと落ちてくるそうです。マウスの脳を、そのまま人間の高度にして複雑な精神活動に当てはめるのは少し乱暴かもしれませんが、少なくとも愛煙家に有利なデータでないことは確かです。

●たばこが止められない原因はドーパミン


 なお、禁煙が難しいのは、ニコチンがアセチルコリン受容体と結びつく際、ドーパミンという伝達物質を放出することと関係があることがわかっています。ドーパミンは快感に関係しているからです。たばこが依存症になりやすいのは、どうやらこのドーパミンの仕業のようです。

たばこはストレスを解消するので、脳にいいか?

「ストレス解消」も、たばこを吸い続ける言い訳として、愛煙家の会話に頻繁に登場します。しかし、喫煙によって解消されるストレスは「たばこを吸えないストレス」に過ぎません。強いていえば、先ほどのドーパミン効果による快感が得られることによって、気分転換が図れるということでしょうか。

 分煙という考え方がなかった昔では、職場でたばこをくわえたまま事務仕事をするという光景をよく目にしました。これで仕事の能率が上がるとは到底思えませんが…。 

 現代では、「仕事の合間に別室で一服」というのが、最も多く見られる喫煙風景です。疲れた脳を癒し、気分転換というところでしょうが、たばこだけの専売特許ではありません。たばこを吸わなくても仕事の合間に二、三人集まって雑談をすれば、同様の効果は得られます。

●たばこに代わるストレス解消、脳のリフレッシュ法


 また、お茶やコーヒーは自分の席で楽しめて、ストレス解消や気分転換に効果の高い方法です。女性なら甘いお菓子を1、2個いただくだけで、仕事のストレスを吹き飛ばし、脳をリフレッシュできるでしょう。なにしろ、脳はブドウ糖(糖質が体内で分解されたもの)を大量消費する器官なのですから…。

 ほんの十数秒から1~2分、机の周りをうろつく方法がクリエイティブな脳に有効なのも、別のページで述べました。

 ストレス解消の観点からも、たばこでなければならない理由を見つけるのは難しそうです。最後に忘れてはならないのは、たばこが動脈硬化を招き、脳血管系の病気のリスクを高めるということです。

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