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あなたは「心は胸の中にある派」?
それとも「脳にある派」?

 
  私たちの心は胸の中にあるのか、それとも脳の中にあるのか?
 「胸派」と「脳派」が議論をすると、なかなか決着がつかないようですが、結論から言えば「心は脳にある」に軍配が上がります。

 でも、胸がキュンとなったり、心臓の鼓動が早くなったりするのは、心がその辺にあるからでは? 脳に心があるというなら、具体的にどの場所にあるのか? そんな疑問にどう答えたらよいのでしょうか。ここでは「心と脳」の疑問について、近年の脳科学の成果を基にまとめてみました。

心のサインは、脳からの信号によって身体に現れる

 心が乱れると心臓の鼓動が早まったり、呼吸が苦しくなったりします。胸が苦しくなることによって、心の苦しさをはっきりと自覚するわけですが、それは胸に心があるからではなく、脳から体の各部に送られた信号によって肉体的症状が現れるに過ぎません。

 心の状態を反映するのは胸だけではありません。例えば、極度に緊張すると、指先の震えやまぶたの痙攣などが生じます。怒りで声が出なくなると、唇の震えや顔の紅潮という形で怒りを表します。恐怖に襲われると、鳥肌が立ったり、瞳孔が開いたりします。だからといって、心が指先や唇、まぶた、皮膚などにあると主張する人はいないでしょう。それらの症状は、脳からの信号によって表された心の状態の一部にすぎないのです。

 では、なぜこのような「症状」が現れるのでしょうか。それはおそらく動物が生きる上で必要だからで、単なるサイン(表現)ではありません。例えば、鳥肌が立つという状態は、犬や猫などの動物で言えば「逆毛を立てて戦闘態勢に入っている」わけで、自分を大きく見せるともに体温を上げて、恐怖に立ち向かおうとする原始的な本能と考えられます。

心を司る「本能」は大脳辺縁系にあった

 
 心は脳のどこに潜んでいるのか? それは心を表わす脳細胞そのものがあるのではなく、本能的ともいうべき大脳の働きの中にあります。

 大脳はその中心部から順に、「脳幹」「大脳辺縁系」「大脳新皮質」の3つに分かれていますが、情動に関係するのはその中間にある大脳辺縁系だとされます。ちなみに、脳幹は生命の維持に必要な機能が中心で、「狭い意味での本能」を司るところ、また、大脳新皮質は思考や判断、記憶などの知的な活動をする部分です。

 その2つにはさまれた大脳辺縁系が、情緒とか生きる意欲など、本能に近い感情をつかさどり、大脳新皮質と影響を与え合っているわけです。

心に影響する脳内物質―統合失調症やうつ病の場合

 心の病の代表的なものに、統合失調症とうつ病があります。原因は個人によって様々ですが、強いストレスが長期間続いた場合に、脳の機能の一部に変調を来たすもので、現代では特定の脳内物質が関係していると考えられています。

 統合失調症は、幻聴や妄想を伴うもので、重症の場合は奇異な言動が目立ち、周囲に混乱を引き起こします。重症者の中には、内に閉じこもって心を閉ざし、コミュニケーションが全く取れなくなるケースもあります。また、軽症の場合は派手な言動がなく、「少しおかしなことを言う人」くらいで気付かれないこともあります。

 発病の原因は、意欲を高めるドーパミンという脳内物質が過剰になるためと考えられ、治療はドーパミンを抑える薬が中心になります。幻聴や妄想を抑えることができれば緩解に向かいますが、再発もあります。

 
 次にうつ病ですが、これは昔「ノイローゼ」などと言われた一過性のものや、「こころの風邪」と比喩される軽度のものから、生きる気力を失い、仕事どころか日常生活も一人ではできない重いものまであります。うつ病は、脳内物質のセロトニンが関係していることが分かっていますが、薬だけで治る場合や、カウンセリングや心理療法が必要な場合があります。



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