脳は情報を心の色メガネで見る
―A10神経群など
でも、実は私たちの脳は、情報を取り入れた段階ですでに色メガネで見ているのだそうです。それは次のような脳の仕組みによるものです。
感情が認識に影響を与える
脳の仕組み
近年、脳に関してA10(エーテン)神経群という用語をよく目にします。A10神経群とは、目や耳などから入った情報が大脳皮質神経細胞に入り、情報を理解・判断する前頭前野に達するまでの間に通る、いくつかの神経回路の総称です。その主なものに「海馬回」「扁桃核」「側坐核」「尾状核」「視床下部」「嗅結節」があります。A10神経群の役割をひと言でいえば、感情をつくる中枢神経です。五感を通して入ってきた情報は、A10というフィルターを通ることによって、その人の気持ちや情緒の影響を受けます。これは情報を理解・判断する前の段階で、感情的なレッテルが貼られることを意味しています。
海馬
短期記憶を司る器官で、タツノオトシゴ(海馬)の形をしていることから、この名前があります。脳に入力された情報の取捨選択をし、長期記憶として大脳皮質に保存する役割を持っています。扁桃核(扁桃体)
扁桃核は扁桃体ともいい、原始的な情動を想起させる器官です。恐怖や不安、不快などのマイナスの感情を司っているほか、情動を記憶する機能も持ち、海馬とも関係して長期記憶にも深くかかわっています。側坐核
側坐核はその名のとおり大脳半球の両側に一つずつあり、快不快や興味、報酬、嗜好などに重要な役割を果たしている器官です。平たく言えば「好き嫌いを決める場所」ということです。尾状核
言語や表情、感動に関与する神経回路と考えられています。将棋のプロ棋士と一般的アマとの脳の比較で、次の一手の直観的なヨミには、プロの尾状核が活動したという研究があります。視床下部
生命維持にかかわる重要な役割として、体温調節、血圧、心拍数、睡眠、性行動などのコントロールがあります。また、心に関しては怒りや不安などを調節し、意欲や自律神経系を司る役割があります。嗅結節
その名のとおりニオイを判断するところで、食べ物を「食べたい匂い」への反応と、「避けたい臭い」への反応を、別々の神経回路で行っています。感情のあとに、理解・記憶・思考がやってくる
これをうまく利用すれば、脳が活性化する
これは私たちが、情報を理解し、記憶し、それについての価値判断をする前に、感情のフィルターがかかるということです。そのことをよく理解し、自分の感情や思考をコントロールできれば、それは脳にとって大きな財産になるでしょう。
例えば、勉強や仕事などを嫌々やっている人は、能力の割にはあまり効果が上がりません。でも、やらなければならないことに興味を持ち、楽しさを見つけて取り組めば、効果は倍増するかもしれません。それが脳の特性(本能)を生かした上手な生き方です。
このことは勉強や仕事だけでなく、趣味・特技やスポーツ、対人関係などにも応用できます。
ページトップ HOME