意味の混同による書き間違い/誤用漢字1
|
不思議と同じ間違え方をする漢字がある
漢字書き取りテストでは、なぜか多くの人が同じような書き間違いをする問題があります。こうした「よくある間違い」を誤用漢字と呼びます。誤用漢字には、間違い方のパターンから次の2つに分けることができます。1.意味の混同による書き間違い
2.形の似た漢字を混同する書き間違い
このページでは「意味の混同による間違い」を集めてみました。意味の混同とは、たとえば次のような書き間違いのことです。
(1)多勢の人に見送られた。 (2) 大勢の人に見送られた。
「大勢」が正しいのはいうまでもありませんが、この場合は「多勢」という言葉もあり、これを「おおぜい」読んでしまうと間違いが発生しやすくなります。多勢(たぜい)のほうは、「多勢に無勢」などというように使い、意味のニュアンスが違います。
次に、問題形式で「漢字書き取りの誤った解答例」を並べましたので、どの漢字が間違っているのかを見つけてください。間違いには気づいても、正しい漢字に直すのは意外に難しいものです。
間違い漢字を発見できますか?
【問題1】 次の文の中には書き間違いの漢字があります。正しく書き直してください。
①快的な住環境を提供する。 ②明治維新の頃はまだ陰歴が使われていた。 ③下馬評通り互格の戦いが延々と続いた。 ④彼は日本舞踊の師南役に適任だ。 ⑤予定が急に延期され、その前後策を練った。 ⑥野次馬が騒ぎ出したが、夜には沈静化した。 ⑦厳しい気候に適応できない動物は陶汰される。 ⑧放射線の照射で突然変移を人為的に行う。 ⑨彼には耳触りなことを平然と言う性癖がある。 ⑩抵抗勢力の反対で、実現には難攻が予想される。 ⑪施設の欠陥を指適する投書があった。 ⑫還暦を迎えて心気一転、陶芸を始めた。 ⑬紫色部という花の名は源氏物語の作者に由来する。 ⑭採決の動議も辞さないという強行な意見が出た。 ⑮店長に「応待が悪い」と叱責されて落胆した。 ⑯不心得な一人のために連体責任を負わされた。 ⑰信じられない感違いから、大きな損害を被った。 ⑱利益誘導につながる個別訪問は禁止されている。 ⑲最後の脱出場面は圧観で、観客を魅了した。 ⑳畜産物の輸出入を巡って、接衝に尽力している。 |
【問題2】 次の文の中には書き間違いの漢字があります。正しく書き直してください。 ①叔父の口聞きで就職できたが、釈然としない。 ②合否は口答試問次第とあって、緊張を隠せない。 ③事故を未前に防ぐ手立てはなかったのか。 ④火災保険への加入を薦められた。 ⑤些細なことをいちいち詮策するな。 ⑥その演奏家は幼少の頃から異才を放っていた。 ⑦実例を上げて問題点を指摘する。 ⑧定年を迎えた恩師の話を敬聴した。 ⑨巨貫力士が勢ぞろいして壮観だった。 ⑩封権的な風習に束縛される。 ⑪漢法薬で体質改善を図る。 ⑫若冠二十二歳で起業して成功を収めた。 ⑬詐偽犯は黙秘権を行使している。 ⑭証人の偽証が暴かれ、晴天白日の身となった。 ⑮敵の挑発に乗って無暴な戦いを挑んだ。 ⑯座禅を組み、修業を積んで克巳心を養う。 ⑰九回裏の快心の一打は、今も脳裏に浮かぶ。 ⑱高年期障害と言われ、妙に合点した。 ⑲最近の悩みの種は片頭痛である。 ⑳彼女の妖艶な微笑に脳殺された。 |
【問題1の解答】
①快的⇒快適 ②陰歴⇒陰暦 ③互格⇒互角 ④師南役⇒指南役 ⑤前後策⇒善後策
⑥沈静化⇒鎮静化(どちらもあるが意味が違う) ⑦陶汰⇒淘汰 ⑧変移⇒変異
⑨耳触り⇒耳障り ⑩難攻⇒難航 ⑪指適⇒指摘 ⑫心気⇒心機 ⑬紫色部⇒紫式部
⑭強行⇒強硬 ⑮応待⇒応対 ⑯連体⇒連帯 ⑰感違い⇒勘違い ⑱個別⇒戸別
⑲圧観⇒圧巻 ⑳接衝⇒折衝
※問題2へ
【問題2の解答】
①口聞き⇒口利き ②口答⇒口頭 ③未前⇒未然 ④薦め⇒勧め ⑤詮策⇒詮索
⑥異才⇒異彩 ⑦上げて⇒挙げて ⑧敬聴⇒傾聴 ⑨巨貫⇒巨漢 ⑩封権⇒封建
⑪漢法⇒漢方 ⑫若冠⇒弱冠 ⑬詐偽→詐欺 ⑭晴天⇒青天 ⑮無暴→無謀
⑯克巳心⇒克己心 ⑰快心⇒会心 ⑱高年期⇒更年期 ⑲片頭痛⇒偏頭痛
⑳脳殺→悩殺
ページトップ 脳を鍛える(HOME)