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パソコンで作る自分史のススメ/目的と意義

自分史は老人だけのものではない。人生の節目に書く意味

 自分史というと、「激動の時代を生き抜いたおじいちゃんが、生きた証を後世に残す」というイメージがあるかもしれません。大枚をはたいて自費出版をした方も結構いらっしゃいます。

 でも最近は、年齢に関係なく、さまざまな目的で、人生の節目に自分史を書くという方が増えてきました。パソコンが仕事やプライベートにかかわらず、日常生活の一部になってしまった現代では、もう自分史を本の形で出版する必要もありません。

 出版するのでなければ、自分史の内容や体裁はどんなものでも自由です。普通の方が想定する読者は、主に家族や子供、孫、親類、ごく限られた親しい友人など、多くてもせいぜい十数人程度でしょうから、パソコンで制作してプリントアウトしたものをホッチキスで止めるだけでも、立派なものです。人によってはデータの送信だけでも済むわけですから、こうなると制作経費は0円です。

自分史の目的と意義を知ろう

自分史が書かれる7つの動機

 さて、自分史はどのような目的(動機)で書かれているのでしょうか? 次に主なものを箇条書きにしました。

①これまでの半生を振り返り、整理して区切りをつけたい
②自分の生きた時代と一回限りの貴重な体験を、次の世代や後世に伝えたい
③祖父母や先祖について聞いたことや、自分や両親の生い立ちなどを子孫に伝えたい
④自分の考えや心情、俳句・短歌、詩集、写真集などを「伝言」として残したい
⑤「エッセイ」を書き溜めて、自分史の形にまとめたい。
⑥事実を克明に記録することで、「生きた証」としたい
⑦自分が書いたものが「本」になる喜びを味わいたい


 目的は複数にまたがることもあるでしょうし、制作をしている途中で、最初の目的とは別の目的が生まれることもあります。つまり、自分が自分史を書いてみようと思った理由とは別の、さまざまな意義が自分史には隠されているのです。

自分史の意義と、書くことがもたらすもの

 自分史は始める前に意識した目的だけではなく、書いていくうちにもたらされる「豊かさ」があります。次に、自分史を書く意義などについてまとめてみました。

➀過去を客観的に見つめることで、現在の自分がわかる


 自分史ではまず、自分の人生を出生時から振り返って思い起こすこと自体に意義があります。人によっては思い出すのもつらい出来事もあるでしょうが、それを客観的に見つめる作業が必要になってきます。自分の育った時代背景や社会、家庭環境などの中で自分の成長をたどることは、いろいろな意味で現在の自分を客観的に分析する大きな手がかりともなります。

 また、自分ではわかっていたつもりでも、書くことによって発見する過去の自分があるかもしれません。自分自身を整理することによって得た認識は、自信にもつながります。

②就職時、青年期、壮年期…など、人生の節目に自己総括する


 自分史を書く時期は、サラリーマンなら定年を迎える前後が多いかもしれません。でも、人によっては就職して一段落したところで、自分の成長記録としての自分史を書く意義はあります。忘れないうちに書いておいて、自分自身を総括するのも悪くはありません。社会人としての第二の人生という意識が強まり、リフレッシュ効果が高まるでしょう。その意味では学生でも、18歳か20歳の頃に「子供の私」から決別して「大人の私」に生まれ変わる儀式として、自分史を書く意義もあります。

 また、40代~50代なら、仕事上で大きな達成感を得た後で半生を振り返り、道のりを記録するのもよいでしょう。専業主婦なら、子育てが終わった感慨に包まれる中で、その後にやってくる一抹の寂しさを吹き飛ばす意味で、「子育て自分史」を書くことも意義深いことです。その場合、自分自身が育てられた様子を重ね合わせて書くと、面白い自分史になるかもしれません。

③未来の自分のため、人生をリフレッシュする


 自分史では過去を見つめて書くわけですが、それは過去に戻るということではなく、未来のために書いているのだということ忘れてはなりません。書き終わったとき、ほとんどの方はこれからまた第三(または第二)の人生が始まるのだということを実感します。自分の「何か」を次世代に残すということよりも、実は自分の未来が大切なのです。リフレッシュこそは自分史を書く最大の効果といえるでしょう。

④構成力、アイデア力、文章力、創造力がアップする


 最後に自分史制作の副産物です。まず、膨大な量の文章を書く前に、大まかな構成を考えなければなりません。次に、各素材やテーマのメモを取り、それを構成して、目次のようなものを作ります。こうした作業の中で、知らず知らずのうちに構成力やアイデア力がついてきます。

 実際に文章を書いていく中でも、文章構成力や文章表現力が次第に向上していくはずです。初めは文章に苦手意識があった方でも、書き続けていくうちに自信のようなものが芽生えて、初めのほうの文章の書き直しをしたくなります。創造力は“定年後”でも必ずついてきます。もしかしたらエッセイストになれるかもしれません。

記憶脳、創造脳、意欲脳を総動員して大脳を活性化

 文章を書くことがどんなに大脳を活性化するかについては、本サイトの「最強の脳トレは文章を書くこと」で解説していますので、詳しくはそちらをご覧いただくとして、ここでは右脳、左脳、前頭葉などの全脳を総動員する作業だということを強調したいと思います。

 素人の書く文章としては、自分史ほど大掛かりなものはありません。文章のプロでも完成まで1~2ヶ月はかかるところですから、アマでは数ヶ月、人によっては2~3年かかるかもしれません。自分史は日記よりもはるかに創造的である上に、誰かに読んでもらうことが前提ですから、わかりやすく書くことも含めて文章表現には気を遣います。それだけ、脳の活性化効果が高いわけです。

創造的な脳を鍛える


 具体的にどのような脳を使っているかというと、昔のことを細かく、生き生きと思い出しながら書くことにより、記憶脳が常に全開となります。主に右脳のイメージ脳が活性化されるでしょう。また、文章を書く上では左脳の言語野のほか、意欲、計画、工夫・創造、実行などを司る前頭葉が鍛えられることになります。

 話は変わりますが、うつ病になるとこの前頭葉の働きが弱まります。また、認知症では前頭葉が日常生活に支障が出るほどに機能不全になります。前頭葉を常に活性化させておくことは、充実した人間生活を送る上で実に大切なことなのです。

 人に読んでいただくための文章を何ヶ月も書き続ける、“自分史制作”という作業は、素人が創造的な脳を鍛えるためのベストの方法で、これ以上のものはないでしょう。
  ☆関連おすすめサイト  自分史の作り方/構想、準備、構成 

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