算数文章題で左脳鍛錬
流水算、鶴亀算、年齢算…
では、読解力があれば計算式を立てるところまでたどり着けるかといえば、そうともいえないようです。算数文章題の読解力は、国語の読解力と少々性質が異なり、論理的思考力が要求されるからです。
一つ例題をやってみましょう。
流水算
問題A町(川上)とB町(川下)の船着場は16km離れています。船を利用して、A町からB町へ行くには1時間かかります。しかし、B町からA町に帰るときは2時間もかかります。船の速さと川の流れの速さが一定だとすると、それぞれの速さはいくらになりますか。 |
解説これは流水算と呼ばれる算数文章題のパターンです。これを解くには、次のことをしっかり押さえておかなければなりません。①下りの速さ=静水時の船の速さ+流れの速さ ②上りの速さ=静水時の船の速さ-流れの速さ 上の二つは紙にA、B 両地点を結ぶ直線を描いて、《①船+流れ、②船-流れ》を図示してみれば、子供にもすぐ理解できます。あとは数字を当てはめるだけです。 下りの速さ:16km÷1時間=16km/h 上りの速さ:16km÷2時間=8km/h 流れの速さ:(16-8)km/h÷2=4km/h (最後に2で割る意味を理解することもポイント) 船の速さ:16km/h-4km/h=12km/h(8km/h+4km/hでもよい) 答え船の速さ=時速12km、流れの速さ=時速4km |
算数文章題には、解法パターン別にさまざまな名前がついています。たとえば、上の流水算の他に、植木算、和差算、年齢算、つるかめ算、ニュートン算、旅人算、通過算、時計算、還元算、周期算、日暦算、分配算などがあります。
鶴亀算と連立方程式
以上のうち、有名な鶴亀算は、「鶴と亀の頭数が10で、足が合わせて26本あります。鶴が何羽、亀が何匹か」というパターンです。解き方は、「全部鶴だとすると足の数は20だから、実際よりも6本少ない…」
というような考え方を出発点とします。
しかし、鶴亀算は計算しやすい「鶴と亀」とは限らず、たとえば次のような問題である可能性もあります。
問題1個60gのまんじゅうと、1個85gのケーキがあわせて24個あります。全部の重さを量ると1765gありました。まんじゅうとケーキはそれぞれいくつありますか。 |
この問題は、連立方程式を習った人なら簡単です。
数学なら まんじゅうをx個、ケーキをy個とすれば、 x + y = 24 60x + 85y = 1765 |
…という式が簡単に導き出されます。あとは機械的な計算問題に過ぎません。でも、算数の問題ですから、方程式を使ってはいけないのです。どう解きますか?
算数文章題は、問題の論理構成がどのパターンに該当するかを見抜く力が要求されます。わかりづらい場合は、文章を図式化してみると解きやすくなりますが、それにはもう一つの脳力を使うことになります。
ただし、文章題には先の流水算や鶴亀算のように、解法別に名前がついていますから、問題が何算に該当するかを見破ることができるかが勝負です。
小学生の子供や孫がいたら一緒にどうぞ
文章題は小学生の問題だと侮っていると、意外に難しい問題にぶつかります。小学生のお子様やお孫さんをお持ちの方は、ぜひチャレンジしてみてください。そして、問題が解けたら、それを小学生にもわかるように説明できるか試してください。解法を説明するのは、もっと難しいということに気がつくはずです。それは、右脳、左脳を統合する前頭葉を駆使するばかりでなく、心の知能指数(IQ)ともいわれるEQも要求されるからです。「左脳トレーニング」として扱いましたが、算数文章題に限らず、左脳だけで解決できる問題など、現実の生活の中には存在しないのかもしれませんね。
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